運送業の車両管理|台帳・日常点検・整備記録の回し方
公開 2026年8月21日
車両が3台のうちは、車検の時期も整備の履歴も頭に入っています。5台を超えたあたりで入らなくなり、10台になると「あの車、いつ整備したっけ」が口癖になります。
このときに増やすべき書類は3つです。ただし、3つの役割はまったく違います。同じものを3回書いているように感じるなら、役割を取り違えています。
3つの役割
| 書類 | 答えるのは | 形 | 保存 |
|---|---|---|---|
| 車両管理台帳 | いま各車がどうなっているか | 1台1行の横並び | 法定ではない |
| 日常点検表 | 今日、運行前に見たか | 1台1か月の縦横 | 法定の定めなし(点呼記録の裏付け) |
| 点検整備記録簿 | その1台に何をしてきたか | 1台1枚の時系列 | 事業用は1年 |
台帳は横に並べて比べるもの、記録簿は縦に積むものです。台帳で「次にやるべき車」を見つけ、やったら記録簿に書く。この往復が車両管理の全部です。
なぜ台帳が先に要るのか
記録簿だけを持っている事業所は珍しくありません。整備工場から書類が来るので、自然に溜まるからです。
問題は、記録簿は1台ごとにファイルが分かれていることです。「来月車検の車はどれか」を知るには、全台のファイルをめくることになります。5台なら我慢できますが、15台では誰もやりません。
台帳は、その「めくる」作業を1回の並べ替えに変えるための表です。車検満了日の列で昇順に並べれば、次にやるべき車が一番上に来ます。
期限は月ではなく日で持つ
台帳でいちばん多い失敗が、期限を「2026年11月」と月で書くことです。
月で書くと、月初なのか月末なのかが分からず、結局は車検証を見に行くことになります。日付で持てば、並べ替えも残り日数の計算もできます。 「2026/11/08」と書くだけで、台帳が動く表になります。
点検は「やった日」と「次回」を対で持つ
事業用貨物自動車の定期点検には周期があります。直近の実施日だけを持っていると、次にいつ来るかを毎回逆算することになります。
台帳に「直近の定期点検」と「次回の定期点検」の2列を置き、実施したら両方を更新する。手間は1回15秒で、逆算の手間がゼロになります。
日常点検を記録に残す理由
日常点検そのものには、記録の保存義務が定められていません。それでも記録を残すべき理由があります。点呼記録に「日常点検の状況」を書く必要があるからです。
口頭で「見ました」と言われたことを点呼記録に書いても、裏付けがありません。日常点検表が1台1か月で1枚あり、その日の列が埋まっていれば、点呼記録の記載と実物が一致します。
異常が出たときにどう繋ぐか
日常点検で異常が見つかったら、流れはこうなります。
- 日常点検表に「△」または「×」と、その場の処置を書く
- 運行を続けられない場合は運行を中止し、配車を組み替える
- 整備を行ったら、点検整備記録簿に内容と走行距離を書く
- 部品を交換したなら、台帳の備考にも一言残す
3が抜けると、次に同じ症状が出たときに「前回いつ直したか」が分かりません。 整備工場に出した場合も、作業明細を転記して自社の記録簿に残してください。
走行距離を必ず添える
整備の記録に走行距離が入っていると、部品の交換時期を距離で判断できます。「前回のブレーキ整備から何km走ったか」は、日付だけでは出せません。
日常点検表には距離を書く欄を設けていませんが、運転日報にメーター値を書く欄があります。整備の日の日報を見れば距離が分かる、という繋がりにしてあります。
何台から始めるか
3台でも作って構いません。台数が少ないうちに形を決めておく方が、後から15台分をまとめて入力するより圧倒的に楽です。
台帳の列は、後から増やすと過去の車両分が空欄になります。最初に「これは要らないかもしれない」と思う列も、迷ったら入れておいてください。
よくある質問
車両管理台帳は法令で作成が義務づけられていますか。
台帳そのものを求める規定はありません。ただし記載する車検満了日や定期点検の実施状況は、道路運送車両法に基づく検査・点検の管理に直結します。
リース車両も同じ台帳に入れますか。
入れてください。備考にリース会社名と契約満了日を書いておくと、返却時期の管理にも使えます。