増車・減車の手続き|車を1台入れ替えるとき
公開 2026年8月21日/更新 2026年10月3日
目次10項目
車を1台入れ替えるとき、動くのは車両だけではありません。届出、登録、保険、台帳、点検の周期。いくつもの作業が連なって発生します。
一般に、この作業は「新しい車が来た日」に始まるものだと思われがちです。実際には、車を発注する前に確認しておくことがいくつかあります。
- 1 発注前 3つの制約を確認
- 2 届出 事業計画の変更
- 3 連絡書 運輸支局で交付を受ける
- 4 登録 車検証の取得
- 5 保険・台帳 運用の準備
順序を知らずに進めると、車は納車されたのに走らせられない、という状態が起こります。
増車の前に確認する3つの制約
増車の前に確認しておきたい制約は、3つあります。
ひとつめが、車庫です。増車する場合、その車両を収める車庫が必要になります。認可を受けた車庫の面積に対して、収容できる台数には限りがあります。いま使っている車庫に余裕があるかどうか。ここは、図面と実際の配置を見て確認しておく部分です。
ふたつめが、運転者です。車があっても、乗る人がいなければ動きません。増車と同時に採用が必要になる場合、車のほうが先に来ることがよくあります。
みっつめが、運行管理者の人数です。営業所ごとに、運行を管理する事業用自動車(被けん引自動車を除く)の数を30で割り、端数を切り捨てて1を足した数以上の運行管理者を選任すると定められています(貨物自動車運送事業輸送安全規則第18条第1項)。たとえば29両までは1人、30両から59両までは2人です。増車で30両・60両の区切りを超える場合、資格者を追加で選任する必要が出てきます。
この3つは、車を発注してからでは間に合わないことがあります。とくに運行管理者は、試験の日程が限られています。区切りが近い台数で運用している場合は、早めに確認しておくのが良いです。
車庫については、面積のほかに見ておく点があります。車両との位置関係、前面道路の幅、営業所からの距離。認可を受けたときの条件から外れていないかを確認しておきます。
以前の認可から時間が経っている場合、周囲の状況が変わっていることがあります。近くに建物が建った、道路が付け替わった、といった変化です。
新しく車庫を借りる場合は、使えるかどうかを事前に確認してから契約するのが安全です。契約してから使えないと分かると、賃料だけが発生します。
運転者については、増車の分だけ乗る人が必要かどうかで判断が変わります。いまの車両が稼働していない時間帯に走らせる形なら、既存の運転者で回ることもあります。この場合は、拘束時間が増えないかを先に見ておく部分になります。
改善基準告示の見方は拘束時間の数え方に整理しています。
増車の手続きの順序|事業計画変更から登録まで
増車の手続きは、進める順序が決まっています。一般的な流れは、次のような形になります。
- 事業計画の変更(原則は事前届出、場合によって認可)
- 事業用自動車等連絡書の交付を受ける
- 運輸支局で登録手続き(車検証の取得)
- 任意保険・自賠責の手続き
- 社内の台帳・記録の更新
ポイントはここです。連絡書がないと、緑ナンバーの登録に進めません。先に車を買って、登録しようとして止まる。この形が、いちばん多いつまずき方になります。
増車・減車は、法令上は事業計画の変更にあたります。営業所に配置する事業用自動車の種別ごとの数を変えるときは、あらかじめ「事業計画変更事前届出書」を出すと定められています(貨物自動車運送事業法第9条第3項、同法施行規則第6条第1項第1号)。ただし、変更後の事業計画が許可の基準に適合しないおそれがある場合は事前届出の対象から外れ、認可(同法第9条第1項)が要ります。
どんな場合が「おそれがある場合」に当たるかは、各運輸局の処理方針で示されています。たとえば中国運輸局の処理方針では、直近3か月の増車と合わせて営業所の車両数の30%以上になる増車(合計10両以下を除く)や、行政処分の累積点数が12点以上の営業所の増車などが、事前届出ではなく認可で審査する場合として挙げられています。認可になる場合は時間がかかるため、納車の日程を決める前に所管の運輸支局に確認しておく部分です。
連絡書は、運輸支局の輸送部門で届出の内容を確かめてもらったうえで受け取り、登録の窓口に出す流れが一般的です。連絡書の扱い(有効期間や添付する書面)は運輸支局によって案内が違うことがあるため、交付を受けるときに確かめておくと手戻りが減ります。そのため、納車の日程が固まってから連絡書を取りに行く形が扱いやすくなります。
窓口に持っていくものは、事前に確認しておくと1回で済みます。事業計画変更の届出書の控え、車検証の写し、車庫の資料など、地域によって求められるものが変わります。
代行を頼む場合は、行政書士に依頼する形が一般的です。年に1回程度の作業であれば、自社で覚えるより頼んだほうが早いという判断もあります。一方で、台数が多く、入れ替えが頻繁にある事業所では、自社で手順を持っておくと動きが早くなります。
減車・売却のときの手続き
減車のときも、増車と同じように手続きが必要になります。増車ほど意識されにくいのですが、届出を忘れると、車両数の実態と届出内容がずれたままになります。
売却や廃車の場合は、次のような順で動きます。
- 事業計画の変更(減車も事前届出の対象)
- 事業用自動車等連絡書の交付を受ける
- 抹消登録、または白ナンバーへの変更
- 保険の解約・変更
- 台帳から外す
減車で気をつけたいのが、許可の基準で定められた最低車両数です。中国運輸局の処理方針では、減車で車両数がこの基準を下回る変更は、災害などで車両が使えなくなり代わりの車両が確保されるまでの間に限って認めるとされています。台数の少ない営業所で減車するときは、先に所管の運輸支局で確かめておくと安心です。
車両を手放したあとも、その車の記録は残ります。点検整備記録簿や運転日報は、保存期間の間は保管が必要です。車が無くなったからといって、記録を処分してはいけない部分になります。
保存期間の整理は書類の保存期間にまとめています。
手放した車両の記録は、まとめて別のファイルに移しておくと扱いやすくなります。現役の車両と同じ場所に置いておくと、探すときに混ざります。「処分済み」という箱をひとつ作り、車両番号と処分日を書いて入れておく形です。保存期間が過ぎたら、そのまま処分できます。箱ごとに期限を書いておくと、判断に迷いません。
売却の場合は、譲渡先に渡す書類と、自社に残す書類が分かれます。渡してしまうと手元に残らないものがあるため、写しを取ってから引き渡すのが安全です。事故の記録や整備の履歴は、あとから照会を受けることがあります。手元に残しておくと、答えられる状態になります。
車両の入れ替えは増車と減車が同時に動く
車両の入れ替えでは、増車と減車の手続きが同時に動きます。新しい車を入れて、古い車を出す。台数としては変わりませんが、手続きは両方について必要になります。
ここで問題になりやすいのが、期間の重なりです。新車の登録が済むまで、旧車を手放せません。かといって、両方を保有している期間が長いと、車庫が足りなくなります。
余裕のある進め方
- 先に届出と連絡書を済ませる
- 納車日を後ろに置く
- 重なる期間に余裕を持たせる
詰まりやすい進め方
- 納車日を先に決める
- 連絡書を後回しにする
- 同日入れ替えを前提にする
同じ日に入れ替える計画を立てると、どこか1つが遅れたときに全体が止まります。そのため、新旧の車両が数日重なる前提で組んでおくと、余裕が出ます。重なる日数は、車庫の空きと保険の切り替え日から逆算して決めておく形が扱いやすくなります。
重なる期間には、車庫の置き場所という問題が出てきます。車庫の位置と収容能力は事業計画の一部で、変えるときは認可が要るとされています(中国運輸局の処理方針 1の(1))。認可を受けた車庫に収まらない台数になるなら、増車の届出の前に車庫の変更手続きを済ませておく必要があります。所管の運輸支局に事前に確認しておくのが良いです。
もうひとつ、保険の切り替えにも段取りが要ります。新車の任意保険をいつから効かせるか、旧車の解約をいつにするか。ここがずれると、保険が切れている車両が出てしまいます。
納車日と抹消日が決まった時点で、保険の担当者に両方の日付を伝えておくと、まとめて手続きしてもらえます。
リースで入れ替える場合は、リース会社が手続きの一部を代行することがあります。どこまでを任せられるかを先に確認しておくと、二重の作業を避けられます。
増車・減車で更新する社内の記録
増車・減車で更新する社内の記録は、車両が動いた時点で手を入れる項目になります。更新するものは、次のような形になります。
このうち、いちばん抜けやすいのが車検満了日の管理です。新しい車が入ると、そこから新しい周期が始まります。既存の車両とは別の日付になるため、管理表に追加しておかないと見落とします。
期限の管理は、月ではなく日で持っておくと安全です。「11月に車検」という持ち方だと、月末が期限だった場合に間に合いません。
車両管理の回し方は運送業の車両管理に整理しています。
増車・減車の手続きをチェックリストにする
増車・減車のチェックリストが効いてくるのは、車両の入れ替えが頻繁に起こる作業ではないためです。年に1回か2回という事業所が多くなっています。この頻度だと、前回のやり方を覚えていません。
そのため、1枚のチェックリストにしておくやり方が広く使われています。書いておく内容は、次のような形で足ります。
- 発注前:車庫の余裕/運転者/運行管理者の人数
- 届出:事業計画の変更(届出か認可か)
- 連絡書:交付を受けたか
- 登録:車検証を受け取ったか
- 保険:自賠責・任意の手続き
- 台帳:追加・削除、車検満了日の登録
- 点検:日常点検の対象に追加、次回点検日の登録
- 運転者:選任の届出
チェックリストは、終わった項目に日付を書く形にしておくと使いやすくなります。チェックだけだと、いつ済ませたかが残りません。日付が入っていると、次回の予定を立てるときの目安になります。
「連絡書の交付から登録まで3日かかった」といった実績が残ると、次の入れ替えの日程が読めるようになります。1枚あると、次の入れ替えのときに考え直さずに済みます。前回の担当者が退職していても、同じ手順で進められる形になります。
車両台数が増えたときに変わる管理
車両台数が増えていくと、管理の仕方そのものを変える時期が来ます。数台のうちは、記憶と紙で回ることもあります。台数が増えるにつれて、期限の管理が追いつかなくなってきます。
具体的には、次のような場面で限界が見えてきます。
- 車検の期限が月に2件以上重なる
- 点検の周期が車両ごとにばらばらになる
- 誰がどの車に乗っているかが即答できない
こうした状態になったら、台帳を一覧で持つ形に切り替える時期になります。表計算で1シートにまとめ、車検満了日を日付で並べておく。それだけでも、見落としは大きく減ります。
台数が増えるタイミングは、管理の形を見直すタイミングでもあります。車を1台足すことと、管理を1段上げること。この2つをセットで考えておくと、あとから追われずに済みます。
なお、届出の要否や必要書類は、地域や事業の形態によって扱いが変わることがあります。実際に進めるときは、所管の運輸支局に確認しておくのが確実です。
1台の入れ替えは、車を買う話に見えて、実際には管理の見直しでもあります。台帳、期限、記録の置き場所。ここが整っていると、次の1台はもっと楽になります。
年に1回か2回しかない作業だからこそ、手順を紙にしておく価値があります。覚えておく必要がなくなります。
増車・減車にかかわる最近の動き(2026年10月時点)
増車・減車の手続きそのもの(事前届出と連絡書)はここ数年変わっていません。一方で、増車した車両に付いてくる記録の義務や、許可の仕組みのほうが動いています。
| 時期 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 2024年8月30日 | 営業所間で運転者と車両を移動させる扱いを弾力化する通達が出された(国自貨第278号ほか) | 中国運輸局の処理方針 1の(3)で引用 |
| 2025年4月1日 | 業務の記録に荷待ち・荷役作業などを書く義務が、車両総重量8トン以上などの車両から全車両に広がった。増車した小型車も対象 | 輸送安全規則第8条(令和6年10月1日公布) |
| 2025年8月1日 | 中国運輸局が事業計画変更等の処理方針を一部改正した(公示第36号) | 中国運輸局公示 |
| 2026年4月1日 | トラック適正化2法の一部が施行され、違法な白ナンバートラックを使う荷主等への規制などが始まった | 国土交通省 改正貨物自動車運送事業法Q&A 問1-2 |
| 公布(2025年6月11日)から3年以内 | 一般貨物自動車運送事業の許可に更新制度が入る予定 | 同Q&A 問1-2 |
増車・減車で見落としやすいのは、増やした車にも記録の義務がそのまま付くことです。2025年4月から荷待ち・荷役の記録が全車両になったため、小型車を増車するときも業務記録の様式に荷待ちの欄があるかを確かめておくと安心です。
出典:
- 貨物自動車運送事業法(e-Gov法令検索)
- 貨物自動車運送事業法施行規則(e-Gov法令検索)
- 貨物自動車運送事業輸送安全規則(e-Gov法令検索)
- 中国運輸局「一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の事業計画変更等に関する処理方針について」
- 近畿運輸局「荷待時間や荷役作業・附帯業務の業務記録への記録義務の対象が全車両に拡大」
- 北陸信越運輸局 長野運輸支局「貨物自動車運送事業の申請・届出」
- 国土交通省「改正貨物自動車運送事業法 Q&A」
確認日は2026年10月3日です。処理方針は運輸局ごとに定められているため、自社の営業所の扱いは所管の運輸支局(輸送部門)で確かめられます。
増車・減車に出てくる用語
増車・減車の書類には、条文の言葉と窓口の言葉が混ざって出てきます。
| 用語 | 意味 | 出典 |
|---|---|---|
| 事業計画 | 営業所の名称と位置、事業用自動車の概要などを定めた計画。許可の申請で出したもので、変えるときは認可か届出が要る | 法第4条第1項第2号・第9条 |
| 事業計画変更事前届出書 | 営業所に配置する事業用自動車の種別ごとの数を変えるときに、あらかじめ出す届出書 | 施行規則第6条第2項 |
| 事業計画変更認可申請書 | 事前届出で済まない変更(車庫の位置や収容能力の変更など)で出す申請書 | 施行規則第5条 |
| 事業用自動車等連絡書 | 届出を確かめた運輸支局が交付し、登録の窓口に出す書面。法令上の定義はなく、運輸支局の様式で扱われる | 各運輸支局の案内 |
| 代替 | 車両の入れ替え。長野運輸支局の案内では、増車・減車と並べて事業計画変更事前届出として扱われている。法令上の定義はない | 長野運輸支局の案内 |
| 運行管理者の選任数 | 営業所の事業用自動車の数を30で割り、端数を切り捨てて1を足した数以上 | 輸送安全規則第18条第1項 |
増車・減車と一緒に押さえておきたいこと
増車・減車の届出の前に、車庫と人をそろえておく
増車・減車のうち増車の届出では、車庫の収容能力を広げるなど事業計画の変更が要るなら、その手続きが終わっていることが求められています。あわせて、事業を行うのに足りる運転者、運行管理者、整備管理者が確保されていることも条件です(中国運輸局の処理方針 1の(3))。発注前の3つの確認を、この条件に合わせておくと手戻りがなくなります。
短い期間の車両の融通も、増車・減車の手続きになる
自社の営業所の間で車両を融通するときは、短い期間であっても、それぞれの営業所で増車・減車の手続きを行うとされています(中国運輸局の処理方針 1の(3))。2024年8月30日の通達による扱いは例外とされているため、繁忙期に車両を回す予定がある場合は、どちらの扱いになるかを運輸支局で確かめておくと安心です。
軽貨物(黒ナンバー)の増車・減車は届出の仕組みが違う
増車・減車の手続きは、貨物軽自動車運送事業(軽貨物)では仕組みが違います。軽貨物の事業者は、届け出た事項(事業用自動車の概要など)を変えようとするときも届け出ると定められています(貨物自動車運送事業法第36条第1項)。一般貨物の事業計画の変更とは別の手続きになるため、軽貨物の増車・減車は所管の運輸支局の案内(連絡書の様式など)に沿って進めます。

よくある質問
増車は届出ですか、認可ですか。
営業所に配置する事業用自動車の数の変更は、原則として事業計画変更の事前届出です(貨物自動車運送事業法第9条第3項、同法施行規則第6条第1項第1号)。ただし、変更後の事業計画が許可の基準に適合しないおそれがある場合は認可が要ります。どの場合が当たるかは運輸局ごとの処理方針で示されているため、着手前に所管の運輸支局で確かめられます。
リース車両でも同じ手続きですか。
事業用自動車として使用する以上、手続きは同様に必要です。台帳の備考にリース会社名と契約満了日を書いておくと、返却時期の管理にも使えます。