運送業の退職証明書|業務の種類をどこまで
公開 2026年9月22日
目次13項目
- 1運送業の退職証明書に書ける5つの事項
- 交付の時期に日数の定めは無い
- 請求されていない事項は書かない
- 2運送業の退職証明書で業務の種類をどう書くか
- 乗務員台帳から写す
- 書く範囲を広げるのとは違う
- 資格の証明とは別
- 3退職証明書の賃金欄で歩合をどう扱うか
- 用途で見るところが違う
- 請求が無ければ書かない
- 賃金台帳から取る
- 4退職証明書と離職票は別のもの
- どちらを出すかは用途で決まる
- 在職中の人から求められたら別の書類
- 5運送業の退職証明書を直行直帰の人へ渡す
- 聞き取った内容を様式に残す
- 送り先を確かめる
- 控えは請求の記録と一緒に綴じる
- 6退職証明書の材料をどこから取るか
- 乗務員台帳
- 労働者名簿
- 賃金台帳
- 辞令や配置の記録
- 7退職証明書はいつまで応じるか
- 記録の保存期間が、書ける期間になる
- 残っていないことは、残っていないと伝える
- 退職者の記録を1か所に綴じる
- 8退職証明書の手順を1枚にする
- 電話で受ける前提にする
- 社印の扱いを決めておく
- 退職の案内に1行入れる
- 9運送業の退職証明書を解雇のときに書く
- 理由は事実で書く
- 事故や違反が理由のとき
- 争いがあるときは専門家に確かめる
- 予告のときにも請求できる
- 10運送業の退職証明書を出す前に確かめる3つ
- 請求された項目と一致しているか
- 台帳の内容と合っているか
- 事業場の情報が入っているか
- 11運送業の退職証明書の控えをどう残すか
- 請求の記録と同じつづりに入れる
- 営業所ごとに分けるか決める
- 年度で区切る
- 12運送業の退職証明書が求められる場面
- 同業他社への転職
- 賃貸や融資の審査
- 国民健康保険や国民年金の手続き
- 失業給付までのつなぎ
- 13運送業の退職証明書で賃金欄に何を含めるか
- 月額か年額か
- 税込みか手取りか
- 何を含めたかを1行添える
乗務員が辞めて、しばらくしてから電話が来る。証明書がほしい、と言われて、社内で誰が受けるのかを探すところから始まります。本人はもう事務所に来ないので、やり取りも電話か郵送になります。
一般には、請求の受付から交付までを社内の様式で回している会社が多くあります。運送業では、転職先が同業であることが多いぶん、書く中身が問われます。
在籍していた期間だけでなく、どの車両に乗っていたかまで見られます。
ポイントはここです。退職証明書は、請求された項目だけを書きます。ただし中身は具体にします。
ここでは、書ける5つの事項、業務の種類の書き方、賃金の扱い、そして直行直帰の人への渡し方までを順に整理します。
運送業の退職証明書に書ける5つの事項
運送業の退職証明書も、退職した人の請求に応じて会社が交付する証明書です。労働基準法にもとづくものとされています。
- 5つ証明できる事項
- 請求分だけ実際に書く範囲
- 遅滞なく交付の時期
解雇の場合は、その理由も含むとされています。
交付の時期に日数の定めは無い
遅滞なくとされていて、何日以内という定めはありません。そのため、社内で目安を決めておくと担当者が迷いません。
請求されていない事項は書かない
これは定めがあるとされています。よかれと思って歩合の内訳や退職の事由を足すと、提出先に不要な情報が伝わります。
運送業の退職証明書で業務の種類をどう書くか
運送業の退職証明書では、転職先が同業の場合にこの欄がいちばん見られます。
抽象的に「運転業務」とだけ書くと、証明としての値打ちがほとんどありません。そのため、請求された業務の種類の中身を具体にします。
中身が無い書き方
- 運転業務
- 配送業務
- 一般貨物の運送
証明になる書き方
- 大型貨物自動車。けん引免許あり
- 冷凍冷蔵2年、危険物1年
- 関東から関西の長距離を担当
乗務員台帳から写す
車両の区分、担当していた路線、扱っていた貨物。これらは乗務員台帳と運転者の記録に残っています。
書く範囲を広げるのとは違う
請求された項目の中身を具体にする、という考え方です。一方で、請求されていない項目を足すのは避けます。
資格の証明とは別
けん引や危険物の免許そのものを証明するものではありません。この場合、本人が免許証や資格者証で示します。
退職証明書の賃金欄で歩合をどう扱うか
運送業では、固定給に運行手当や歩合が入る形が多くあります。
月によって額が変わるため、どの月の額を書くのか、平均で書くのかを確かめてから書きます。そのうえで、税込みか手取りかも確かめます。
用途で見るところが違う
賃貸の審査に使う場合と、転職先に出す場合では見られる点が違います。この場合、本人に用途を聞くと、書く形が決まります。
請求が無ければ書かない
賃金の請求が無ければ、この欄は空けます。歩合の内訳まで書いて渡す必要はありません。
賃金台帳から取る
記憶や本人の申告で書かないのが原則です。一方で、台帳が月ごとに閉じてあれば、探す時間は短く終わります。
退職証明書と離職票は別のもの
社内で混ざりやすいのが、離職票との違いです。
離職票
- ハローワークが交付する
- 失業給付の手続きに使う
- 届くまでに時間がかかる
退職証明書
- 会社が発行する
- 様式は定められていない
- 記録がそろえばすぐ出せる
離職票は、会社がハローワークへ離職証明書を出し、ハローワークが交付します。
どちらを出すかは用途で決まる
失業給付の手続きなら離職票、転職先や役所の手続きなら退職証明書が多くなります。そのため、本人に用途を聞くのが早い道になります。
在職中の人から求められたら別の書類
在籍している人からの依頼は、在職証明書になります。こちらは法令に定めのある書類ではありません。
運送業の退職証明書を直行直帰の人へ渡す
運送業の退職証明書は、本人が事務所に来ないまま手続きが終わることがあります。
- 1 請求を受ける 電話でも受ける
- 2 項目を聞き取る こちらで様式に記入
- 3 記録から写す 台帳と賃金台帳
- 4 郵送して控える 送った日と方法
請求そのものが電話で来ることも多くあります。
聞き取った内容を様式に残す
どの項目を請求するかを聞き取って、こちらで記入します。そうすると、書かなかった項目について後から聞かれても答えられます。
送り先を確かめる
退職後に引っ越していることがあります。この場合、送る前に届出の住所を確かめます。
控えは請求の記録と一緒に綴じる
同じ人から再び請求が来ることがあります。前回と内容が食い違うと、説明が難しくなります。
退職証明書の材料をどこから取るか
証明書の内容を新しく作るわけではありません。すでにある記録から写します。
乗務員台帳
車両の区分、担当路線、扱った貨物。運送業ではここがいちばん厚い材料になります。
労働者名簿
氏名、雇入れの年月日、退職の年月日、従事する業務の種類。使用期間はここから取れます。
賃金台帳
賃金の額。どの期間の賃金を書くかは、請求の内容で変わります。
辞令や配置の記録
その事業における地位。班長や運行管理者といった役職を書くことになります。
退職証明書はいつまで応じるか
請求は、退職の直後とは限りません。何年か経ってから来ることがあります。
労働基準法にもとづく請求権は、賃金以外は2年とされています。とはいえ、実際に書けるかどうかは、記録が残っているかで決まります。
記録の保存期間が、書ける期間になる
乗務員台帳、労働者名簿、賃金台帳。これらには保存の期間が定められているため、書ける期間はそこに縛られます。
残っていないことは、残っていないと伝える
期間を過ぎた請求については、記録が残っていないことを伝える形になります。そのうえで、所轄の労働基準監督署に確かめると判断の材料になります。
退職者の記録を1か所に綴じる
台帳、名簿、出勤の記録。退職の日で綴じておくと、請求が来たときに探す手間が小さくなります。
退職証明書の手順を1枚にする
年に何回かしか発生しない業務です。1枚にまとめておくと、担当が代わっても同じ形で回せます。
書くのは5つです。請求を受ける窓口、請求の様式、書く材料の置き場所、交付までの目安、控えの保管場所。
電話で受ける前提にする
事務所に来ない人が多いためです。この場合、聞き取りの項目を様式に印刷しておくと、抜けません。
社印の扱いを決めておく
定めはありませんが、事業場の所在地と事業主名を書き、社印を押している例が多くあります。代表印である必要はありません。
退職の案内に1行入れる
必要になったら連絡してほしい、と伝えておきます。そのうえで、連絡先も書いておくと、慌てた電話が減ります。
運送業の退職証明書を解雇のときに書く
運送業の退職証明書でいちばん書きにくいのが、解雇した人から請求された場面です。事由を請求されていれば、その理由も含めて証明することとされているためです。
理由は事実で書く
評価の言葉ではなく、事実で書きます。就業規則のどの条項にあたるか、どの事実がそれにあたるか。この2つが並んでいる形になります。
事故や違反が理由のとき
運送業では、重大な事故や違反が理由になることがあります。そのため、記録と突き合わせてから書きます。
争いがあるときは専門家に確かめる
事実関係に食い違いがある場面では、書き方が結果に影響します。この場合、所轄の労働基準監督署や社会保険労務士に確かめてから交付します。
予告のときにも請求できる
解雇の予告がされた日から退職の日までの間に、解雇の理由についての証明書を請求できる形があります。一方で、退職証明書とは別の場面になります。
運送業の退職証明書を出す前に確かめる3つ
交付の前に短い確認を入れると、差し戻しが減ります。
請求された項目と一致しているか
チェック欄と、実際に書いた欄を突き合わせます。請求の無い欄に文字が残っていないかを見ます。
台帳の内容と合っているか
車両の区分、担当路線、扱っていた貨物。乗務員台帳と突き合わせます。
事業場の情報が入っているか
所在地、名称、事業主名。この3つが抜けていると、提出先で受け付けられないことがあります。
運送業の退職証明書の控えをどう残すか
控えの残し方で、次に請求が来たときの手間が変わります。
請求の記録と同じつづりに入れる
どの項目を請求され、何を書いて、いつ渡したか。この3つが1か所にあれば、再請求のときに同じ内容で出せます。
営業所ごとに分けるか決める
複数の営業所がある会社では、どこで保管するかを決めておきます。そのうえで、退職者の記録と同じ場所にまとめます。
年度で区切る
記録の保存期間の管理と合わせられます。一方で、期間を過ぎたものの扱いも決めておきます。
運送業の退職証明書が求められる場面
本人が何かの手続きで求められて請求してきます。
同業他社への転職
在籍期間と、車両の区分や扱った貨物が見られます。そのため、業務の種類の欄が中心になります。
賃貸や融資の審査
前職の勤務の実態を確かめるために使われます。この場合、賃金の証明を求められることがあります。
国民健康保険や国民年金の手続き
退職した日が分かるものとして、市区町村の窓口で求められます。使用期間があれば足りる場面が多くなります。
失業給付までのつなぎ
離職票が届くまでの間に、退職した事実を示すために使われます。一方で、給付の手続きそのものには離職票が要ります。
運送業の退職証明書で賃金欄に何を含めるか
歩合や運行手当の扱いで、書く数字が変わります。
月額か年額か
用途によって求められる形が違います。そのため、請求のときに確かめます。
税込みか手取りか
賃貸の審査では税込みで見られることが多くあります。この場合も、本人に確かめてから書きます。
何を含めたかを1行添える
基本給と運行手当の合計なのか、賞与を含むのか。そのうえで、含めた範囲を書いておくと、後から問われません。
様式は退職証明書テンプレートからダウンロードできます。在籍中の人向けは在職証明書、材料になる台帳は乗務員台帳にまとめています。
よくある質問
運転できる車両の区分はどこまで書きますか。
請求された業務の種類の中身として書きます。大型・中型・けん引の別や、危険物や冷凍冷蔵の経験まで書くと、転職先での証明になります。乗務員台帳から写します。
歩合や運行手当は賃金に入れますか。
賃金の請求があった場合に、どの形で書くかを本人に確かめます。月によって額が変わるため、どの月の額か、平均かを決めてから書きます。
請求が電話で来ました。
どの項目を請求するかを聞き取って、こちらで様式に記入し、控えに残します。後から書かなかった項目について聞かれたときに答えられます。