点呼で確認すること|乗務前・乗務後に何を残すか

公開 2026年8月21日/更新 2026年10月3日

商い屋 運送 編集部法令の原文と省庁の資料で確認:2026年10月3日
目次12項目

乗務前と乗務後に行う点呼では、確認する内容が決まっています。方法や実施者の話とは別に、まず「何を確かめるのか」を押さえておくと、記録の形も決まってきます。

この記事が扱うのは、点呼の中身(何を確認し、何を残すか)です。誰が行えるか、対面以外の方法がいつ使えるかというやり方の話は、点呼は誰がどこまでできるかに分けて整理しています。中身はどの方法でも同じなので、先にこちらを固めておくと、方法を選ぶときにも迷いにくくなります。

一般に、点呼は3つの働きを持っています。

  • 確かめる運転者と車両の状態
  • 伝えるその日の運行に必要なこと
  • 残す確認したことの記録
点呼は、確認だけの場ではない

このうち、真ん中の「伝える」が抜けている事業所が多く見られます。確認は形になっているのに、指示の欄が毎回空のまま。これだと、点呼が確認だけの作業になります。

ポイントはここです。点呼は、その日の運行を組み立て直す最後の場面でもあります。

乗務前点呼で確認する3つのこと

乗務前点呼で確認するのは、大きく分けて3つになります(貨物自動車運送事業輸送安全規則第7条第1項)。現在の規則は「運行の業務に従事しようとする運転者等」への点呼と書いており、国土交通省の資料では「業務前点呼」と呼ばれています。現場で広く使われている「乗務前点呼」と同じものです。

ひとつめが、酒気帯びの有無です。目視などで運転者の状態を確かめるほか、営業所に備えたアルコール検知器を使って確認し、結果を記録します(同条第4項)。検知器の扱いは運送業のアルコールチェックにまとめています。

ふたつめが、疾病、疲労、睡眠不足などの状況です。「体調はどうですか」と聞くだけでなく、顔色や受け答えの様子も見ます。本人が「大丈夫です」と言っても、様子が違えば掘り下げる場面になります。

みっつめが、日常点検の実施状況です。道路運送車両法第47条の2の点検(日常点検)が済んでいるか、異常がなかったかを確認します。日常点検表が提出される形になっていると、その場で見られます。

この3つは、規則が報告を求めて確認する事項として並べているもので、どれかを省いてよいとはされていません。

そのうえで、その日の運行について必要なことを指示します。天候、道路の状況、荷主からの連絡、積荷の注意点。

乗務後点呼で確認すること

乗務後点呼(規則上は業務を終了した運転者等への点呼、業務後点呼)で確認するのは、次のような内容になります(輸送安全規則第7条第2項)。

  • 運行の状況(予定どおりだったか、変更はあったか)
  • 交替した場合は、交替した運転者への通告内容
  • 車両、道路、運行の状況に異常がなかったか
  • 酒気帯びの有無

乗務後にも酒気帯びの確認が入るのは、意外に思われることがあります。運行中に飲酒していないことを確かめる意味があるためです。

乗務前に見るもの

  • これから運転できる状態か
  • 車両は問題ないか
  • 何を伝えるべきか

乗務後に見るもの

  • 何が起きたか
  • 車両に異常はないか
  • 次に引き継ぐことは何か
前は「これから」、後は「起きたこと」

乗務後の点呼は、形だけになりやすい部分があります。帰庫が遅い時間になると、確認が短くなりがちです。とはいえ、車両の異常や、道路の状況の変化は、この場面でしか拾えません。「今日はどうでしたか」という問いかけが1つあると、拾える情報が変わります。

拾った情報は、その場で終わらせないのが良いです。「あの交差点、右折が見にくかった」という話が出たら、日報の特記事項に書いてもらいます。書かれていれば、翌月のヒヤリハットの材料になります。

車両の異常なら、その日のうちに整備の手配につなげます。翌朝に持ち越すと、次の運行が止まります。

乗務後の点呼は、翌日の準備の場でもあります。ここで拾えたことが、翌朝の指示事項につながる形です。

交替がある運行では、引き継ぐ内容の確認も入ります。次に乗る人に何を伝えたか。ここが抜けると、同じ車両で同じ問題が繰り返されます。

点呼記録簿に残す項目

点呼記録簿に残す項目は、確認事項と対応しています。輸送安全規則第7条第5項では、運転者等ごとに、点呼を行った旨と報告・確認・指示の内容、点呼を行った人と受けた人の氏名、車両の登録番号など、日時、方法を記録し、1年間保存すると定められています。点呼記録簿には、次のような欄を設けておくと形になります。

欄書くこと
実施日時年月日と時刻
種別業務前(乗務前)・業務後(乗務後)・中間
実施者氏名(運行管理者か補助者か)
対象者運転者の氏名
車両自動車登録番号など、車両を識別できる表示
方法対面・遠隔点呼・電話など
酒気帯び検知器の結果
健康状態異常の有無
日常点検実施の有無、異常の有無
指示事項伝えた内容

このうち、指示事項の欄が空のまま並んでいると、点呼が確認だけになっている状態が見て取れます。

伝えることが何もない日もあります。その場合は「特になし」と書いておくと、確認したうえで無かったことが分かります。空欄のままだと、聞いたのか聞かなかったのかが区別できません。

巡回指導で点呼記録が見られる点

巡回指導では、点呼記録が重点的に見られます。見られ方には傾向があります。1枚ずつ内容を精査するというより、全体として辻褄が合っているかという見方です。

具体的には、次のような突き合わせが行われます。

  • 運行があった日に、点呼記録があるか
  • 点呼の時刻と、日報の出庫時刻が矛盾していないか
  • 実施者の欄が埋まっているか
  • アルコール検知の結果が全件について残っているか

1件でも抜けがあると、他の日も同じではないかという見方になります。準備の進め方は巡回指導の準備にまとめています。

先回りできるのは、月末に日報と点呼記録の枚数を突き合わせておくやり方です。数を数えるだけの作業ですが、抜けはここで見つかります。

もうひとつ、時刻の書き方をそろえておくと指摘が減ります。点呼の時刻と、日報の出庫時刻。この2つが逆転していると、記録として矛盾します。点呼を済ませてから出庫する流れなので、点呼のほうが早い時刻になります。

まとめ書きをしていると、この逆転が起きやすくなります。点呼の記録をあとから書くと、出庫時刻より遅い時刻を書いてしまうことがあります。そのため、時刻はその場で書く。これだけで、辻褄の合った記録になります。

24時をまたぐ運行では、日付の書き方も決めておきます。乗務前の点呼を行った日を基準にする形が一般的です。決めていないと、記録が2日に分かれたり、同じ日に2件並んだりします。あとから読む人には、どちらか分かりません。

点呼の中身と、点呼のやり方を分けて考える

点呼の決まりは、中身(何を確認するか)とやり方(誰が、どの方法で行うか)の2つに分かれています。この記事は中身を、点呼は誰がどこまでできるかはやり方を扱っています。

分け方この記事(中身)点呼は誰がどこまでできるか(やり方)
答える問い何を確認し、何を残すか誰が、どの方法で行えるか
主な条文輸送安全規則第7条第1項・第2項・第5項同第7条第1項・第3項、第18条第3項、点呼告示
扱う話題確認事項、記録簿の欄、聞き方、時間の確保補助者の割合、電話点呼、遠隔点呼、自動点呼

ポイントはここです。やり方が補助者や遠隔点呼に変わっても、確認する中身は同じです。補助者が点呼を行っていて、アルコールが検知された、体調に問題がありそうだ、という場面が出たときの判断は運行管理者が行うとされています。補助者の選び方や割合の上限は、やり方の記事で確かめてください。

点呼の時間をどう確保するか

点呼は、1人あたり数分の作業になります。台数が増えると、この数分が積み上がります。10人が同じ時間帯に出庫する事業所では、出庫が遅れる原因にもなります。

  1. 1 出庫時刻をずらす 5〜10分刻みにする
  2. 2 日常点検を先に 待ち時間に済ませる
  3. 3 記録は事前に印字 氏名・車両を埋めておく
  4. 4 確認に集中 書く時間を減らす
待ち行列は、並べ方と下準備で短くなる

実務で使われているのが、記録簿を事前に用意しておくやり方です。その日の運転者名と車両番号を、あらかじめ印字しておきます。点呼の場では、確認した結果だけを書けば済みます。書く時間が減ると、確認そのものに時間を使えるようになります。

出庫時刻を数分ずつずらす方法も、効果があります。全員が同じ時刻に集まる形をやめるだけで、待ち時間が消えます。

順番を決めておくやり方もあります。遠方に行く車から先に出す、荷主の受入れ時刻が早い順に出す。基準があると、その場で並び方を考えずに済みます。

日常点検を点呼の前に済ませる形にしておくのも効きます。点検が終わった人から順に点呼に入れば、待ち時間が重ならなくなります。

短縮するときに気をつけたいのが、確認そのものを削らないことです。時間を詰めるのは、書く作業と待ち時間の側です。確認事項を飛ばすと、点呼として成立しなくなります。

点呼が持っているもうひとつの意味

点呼は、運転者と管理者が毎日顔を合わせる場でもあります。体調の変化、家庭の事情、荷主とのやり取りで気になっていること。こうした話は、あらためて面談の時間を取っても出てきにくいものです。むしろ、出庫前の数分のほうが出てきます。

事故の背景をたどると、「その日、本人は何かを気にしていた」という形にたどり着くことがあります。点呼は、それに気づける数少ない接点になります。

制度上の義務として見ると、点呼は手間の多い作業に見えます。接点として見ると、位置づけが変わってきます。毎日続くものなので、負担を減らす工夫は必要です。そのうえで、確認と会話の両方が成り立つ形にしておくと、記録以上のものが残ります。

点呼の聞き方で拾える情報が変わる

点呼での健康状態の確認は、聞き方によって拾える情報が変わります。「体調は大丈夫ですか」と聞くと、ほとんどの人が「大丈夫です」と答えます。答えやすい形になっているためです。

「昨日は何時に寝ましたか」と聞くと、事実が返ってきます。事実には、判断の材料が含まれます。

同じように、「変わりないですか」より「今日はどこを走りますか」のほうが会話になります。運転者の側から情報が出てくる形です。聞く項目を増やす必要はありません。同じ確認を、答えやすい形にするだけで足ります。

もうひとつ、断りやすくしておくことも大事な部分になります。体調が悪いと言えば、その日の運行が組み直しになります。それが分かっていると、言い出しにくくなります。

「無理そうなら配車を替えます」と先に伝えておくと、実際の状態が出てきやすくなります。替えられる余地が無い日もあります。それでも、聞く姿勢があるかどうかで、次に伝えてもらえるかが変わります。

点呼記録が後から効いてくる場面

点呼記録は、書いた時点では単なる確認の記録になります。後から効いてくる場面が、いくつかあります。

事故が起きたとき、その日の状態がどうだったかを示す材料になります。体調に問題がなく、アルコールも検出されず、日常点検も済んでいた。この記録があると、説明ができます。

長時間労働が問題になったときも、点呼の時刻が始業と終業の裏づけになります。日報と合わせて見ると、実態が追えます。労災の申請でも、その日の状況を示す資料として使われることがあります。

こうした場面は、頻繁に起きるものではありません。起きたときに手元にあるかどうかで、対応の速さが変わります。保存期間は1年です(輸送安全規則第7条第5項)。ほかの記録との関係は書類の保存期間にまとめています。

なお、確認事項や記録の要件は改正で変わることがあります。自社の運用が現行の要件に合っているかは、所管の運輸支局に確認しておくのが確実です。

点呼は、毎日必ず発生する作業です。負担を軽くする工夫と、確認を落とさない形。この2つを両立させておくと、長く続けられます。

いまの点呼で指示事項の欄が埋まっているかどうか。まずそこを見てみると、直す場所が見つかります。埋まっているなら、その運用はすでに形になっています。

点呼の確認項目にかかわる最近の動き(2026年10月時点)

点呼の確認項目そのもの(酒気帯び、疾病・疲労・睡眠不足、日常点検)は、ここ数年変わっていません。動いているのは、確認の判断材料になる周りの決まりです。

時期内容根拠
2023年12月1日白ナンバーの安全運転管理者にも、アルコール検知器を使った酒気帯びの確認が義務になった(運送事業者は2011年5月1日から)道路交通法施行規則第9条の10、警察庁
2024年4月1日トラック運転者の改善基準告示が改正され、1日の休息期間は継続11時間以上を基本とし、9時間を下回らないこととされた厚生労働省 改善基準告示
2025年4月1日業務の記録に荷待ち・荷役作業などを書く義務が全車両に広がった。業務後点呼で聞く運行の状況と突き合わせやすくなった輸送安全規則第8条、近畿運輸局の案内
2025年4月30日業務前の点呼を認定機器で行う業務前自動点呼が加わった。確認する項目は対面と同じ令和7年国土交通省告示第347号

点呼の確認項目で変化が効いてくるのは睡眠不足の確認です。前日の終業時刻と当日の点呼時刻の間が9時間を切っていないかを点呼の場で見られるようにしておくと、「昨日は何時に寝ましたか」という問いかけに根拠が加わります。対面以外の方法の広がりは、点呼は誰がどこまでできるかで時系列にまとめています。

出典:

確認日は2026年10月3日です。点呼の確認事項は所管の運輸支局(輸送部門)、休息期間の数え方は所轄の労働基準監督署で確かめられます。

点呼の確認項目に出てくる用語

点呼の確認項目は、規則の言葉で書かれています。言葉の範囲を押さえておくと、記録簿の欄が決めやすくなります。

用語意味出典
業務前点呼運行の業務に従事しようとする運転者等への点呼。現場では乗務前点呼とも呼ぶ輸送安全規則第7条第1項
業務後点呼運行の業務を終了した運転者等への点呼。現場では乗務後点呼とも呼ぶ同第7条第2項
中間点呼業務前・業務後のどちらも対面などで行えない業務で、途中に少なくとも1回行う点呼同第7条第3項
酒気帯びの有無目視などと、営業所に備えたアルコール検知器で確認する事項同第7条第1項第1号・第4項
疾病、疲労、睡眠不足等安全な運転ができないおそれがあるかどうか。理由は例示で、これに限られない同第7条第1項第2号
日常点検道路運送車両法第47条の2の点検。点呼では実施またはその確認を求める同第7条第1項第3号
通告運転を交替するときに、次の運転者に車両や道路の状況を伝えること同第7条第2項、第17条第4号

点呼の確認項目と一緒に押さえておきたいこと

点呼の確認項目は、乗務させない決まりとセットになっている

とはいえ、点呼の確認項目は、確かめて終わりではありません。輸送安全規則第3条第5項は酒気を帯びた状態にある乗務員等を、同条第6項は疾病・疲労・睡眠不足などで安全に業務ができないおそれがある乗務員等を、運行の業務に従事させてはならないと定めています。点呼記録簿の結果欄に「乗務させなかった」「配車を替えた」という措置まで書けるようにしておくと、確認と判断がつながって残ります。

点呼の確認項目は、運転者ごとに記録する

点呼の確認項目の記録は、運転者等ごとに残すと定められています(輸送安全規則第7条第5項)。そのため、複数の運転者を同じ時間に集めた場合も、記録は1人ずつ分けます。1行にまとめて「全員異常なし」と書く形は、誰の確認なのかが読めなくなります。

点呼の確認項目の「日常点検」は、点検そのものとは別に残す

点呼の確認項目のうち日常点検は、点検の実施またはその確認を求めるものです(同第7条第1項第3号)。一方、日常点検表は点検の結果、点呼記録簿は点呼で確認したことの記録です。両方の様式に同じ日付と車両番号が入っていれば、巡回指導で突き合わせを求められたときにすぐ出せます。

商い屋 運送 編集部がまとめました運送業の様式を無料で配り、使い方と法令の決まりを記事にまとめています。法令の数字は e-Gov の原文で確かめてから載せています。

よくある質問

点呼は何分くらいかけるものですか。

時間の定めはありません。確認すべき事項を確認できているかが基準です。点呼の記録は運転者等ごとに残すと定められているため(輸送安全規則第7条第5項)、複数名を同じ時間に集めた場合も1人ずつ確認し、1人ずつ記録します。

点呼記録簿の保存期間はどのくらいですか。

輸送安全規則第7条第5項で、点呼の記録は1年間保存すると定められています。業務の記録(運転日報)も同じく1年です(同第8条)。

運行管理者が不在の時間帯の点呼はどうすればよいですか。

補助者を選任して行わせる方法があります(輸送安全規則第18条第3項)。補助者が行える割合や判断の範囲は、同じサイトの「点呼は誰がどこまでできるか」の記事に整理しています。自社の運用は所管の運輸支局で確かめられます。

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