拘束時間の数え方|改善基準告示で何を管理するのか
公開 2026年8月21日/更新 2026年10月3日
目次13項目
- 1拘束時間とは|労働時間との違い
- 2拘束時間の上限は日単位と月単位の両方にある
- 3休息期間とは|前日の終業から数える
- 4運転時間と連続運転時間の違い
- 5拘束時間管理表が日報とずれる理由
- 6拘束時間の上限の一覧|改善基準告示の数値
- 7拘束時間の管理はどこから手を付けるか
- 8拘束時間が上限を超えそうなときにできること
- 9拘束時間管理表を運転者に見せるかどうか
- 10拘束時間管理表の保存と見返し
- 11拘束時間にかかわる最近の動き(2026年10月時点)
- 12拘束時間に出てくる用語
- 13拘束時間と一緒に押さえておきたいこと
- 拘束時間の上限と、時間外労働の年960時間は別に数える
- 拘束時間の月310時間は、続けて3か月まで
- 拘束時間の確認には、厚生労働省のソフトも使える
拘束時間という言葉は、労働時間と混同されやすい部分があります。給与計算で使う労働時間と、改善基準告示で管理する拘束時間。数える範囲が違います。
実務では、この2つを同じ表で管理している事業所が多くあります。ここが混ざったまま管理していると、片方は守れているのにもう片方が超えている、という状態が起こります。
労働時間
- 労働基準法の概念
- 休憩は含まない
- 賃金の計算に使う
拘束時間
- 改善基準告示の概念
- 休憩も含む
- 運行の組み方に使う
ポイントはここです。拘束時間は、始業から終業までのすべてを含みます。休憩している時間も、荷待ちしている時間も、拘束時間には入ります。
拘束時間とは|労働時間との違い
拘束時間とは、始業から終業までのすべてを含む時間のことです。その中に、労働時間と休憩時間の両方が入ります。厚生労働省の資料では「使用者に拘束されている時間」で、労働時間と休憩時間の合計とされています。
たとえば、朝6時に出庫して、夜8時に帰庫した日。この日の拘束時間は14時間になります。途中で2時間休憩していても、拘束時間は14時間のままです。労働時間としては12時間です。この2つの数字が、同じ1日について並びます。
荷待ちが長い運行では、この差が大きくなります。待っている時間が休憩として扱われると、労働時間は増えません。一方で、拘束時間のほうは増えていきます。労働時間だけを見ていると、拘束時間の超過に気づけない形になります。
もうひとつ、始業と終業をどこで区切るかも決めておく必要があります。営業所に出勤してから出庫するまでの準備、帰庫してから片づけを終えるまでの時間。ここも拘束時間に入ります。
出庫時刻を始業として数えていると、実際より短く出ます。点呼や日常点検の時間が抜けるためです。一般的には、出勤した時点を始業として扱います。点呼記録の時刻が、その裏づけになります。
直行直帰の運行では、車両に乗り込んだ時点を始業とする形が多く使われています。決め方そのものより、社内でそろっていることのほうが大事な部分になります。決めた内容は書面にしておくと、担当者が替わっても続きます。
拘束時間の上限は日単位と月単位の両方にある
拘束時間の上限は、改善基準告示で日単位と月単位の両方に定められています。日単位は、1日あたりの拘束時間です。月単位は、1か月の合計になります。さらに1年の合計にも上限があります。
- 1 1日 13時間(最大15時間)
- 2 1か月 284時間(協定で310時間)
- 3 1年 3,300時間(協定で3,400時間)
ここでいう1日は、暦の1日ではなく始業時刻から数えた24時間です。1日の拘束時間を延ばす場合でも15時間までで、14時間を超える回数は週2回までを目安にできるだけ少なくするよう努めることとされています。1週間の運行がすべて長距離貨物運送(1回の運行の走行距離が450km以上)で、休息期間を住所地以外で取る場合は、週2回まで16時間とできます(厚生労働省「トラック運転者の改善基準告示」Q3)。
日単位を守っていても、月の合計で超えることがあります。逆に、月の合計に余裕があっても、特定の日が超えていれば違反です。そのため、管理表は日ごとの記録と、月の累計の両方が見える形にしておく必要があります。
拘束時間管理表は、日ごとの行と、月の合計欄を持つ形が一般的です。月の途中で累計を確認できると、残りの日をどう組むかが決められます。月末になってから超過が分かっても、直しようがありません。
休息期間とは|前日の終業から数える
休息期間とは、前日の終業から翌日の始業までの、勤務と勤務の間の時間のことです。終業してから次の始業までが、休息期間になります。改善基準告示では、勤務終了後に継続11時間以上を与えるよう努めることを基本とし、継続9時間を下回らないこととされています。長距離貨物運送で住所地以外で休む場合は週2回まで継続8時間以上とでき、その場合は運行終了後に継続12時間以上の休息期間を与えます。
ここが分かりにくいのは、休息期間が2日にまたがる概念だからです。その日の中では完結しません。前日の終業時刻と、当日の始業時刻の両方が分かってはじめて計算できます。
管理表を日ごとに独立して作っていると、この計算ができません。前日の終業時刻が見える形になっている必要があります。
実務では、管理表の行を日付順に並べ、前日の終業と当日の始業が上下に並ぶ形にしておくやり方が使われています。差が休息期間になるので、目で追えるようになります。
休息を続けて取れない場合の扱いは改善基準告示の例外にまとめています。
運転時間と連続運転時間の違い
運転時間と連続運転時間は、拘束時間とは別に上限が定められている数値になります。こちらは2種類あります。
- 運転時間:2日を平均して1日あたり9時間まで、2週間を平均して1週間あたり44時間まで
- 連続運転時間:4時間まで
連続運転時間は、途中で運転を中断することで区切られます。中断は1回がおおむね10分以上で、合計30分以上が必要とされています。10分未満の中断が3回以上続く形は「おおむね10分以上」に当たりません。サービスエリアやパーキングエリアに止められず、やむを得ず4時間を超える場合は、30分まで延ばせるとされています(厚生労働省 同上 Q6)。中断の時間は、休憩として日報に記録されます。休憩の記録が無いと、連続して運転していたことになります。実際には休んでいても、記録の上では休んでいない状態です。
日報の書き方は運転日報の書き方に整理しています。
運転時間の平均を出す方法は、少し独特です。2日を平均する、2週間を平均する、という形なので、1日だけを見ても判断できません。そのため、管理表に前後の日が並んでいると、平均が出しやすくなります。
連続運転時間の管理は、日報の休憩欄が頼りになります。事務所側では、実際に何時に止まったかを見る手立てがありません。デジタルタコグラフを積んでいれば走行の記録は取れますが、休憩の意図までは分かりません。
そのため、休憩の時刻と場所を書いてもらう形にしておきます。書かれていれば、中断があったことが説明できます。
長距離の運行では、休憩を取る場所をあらかじめ運行指示書に書いておくやり方もあります。予定として示しておくと、記録も残りやすくなります。書いてもらう手間は、1回あたり数十秒です。それで連続運転の証拠が残るなら、割に合う作業になります。
拘束時間管理表が日報とずれる理由
拘束時間管理表は、運転日報から転記して作るのが一般的です。この転記で、数字がずれることがあります。原因は、いくつかあります。
| ずれる原因 | 起きること |
|---|---|
| 日報の時刻が丸まっている | 実態より短く出る |
| 休憩の記録が抜けている | 連続運転が長く見える |
| 直行直帰の始業時刻が曖昧 | 日によって基準が変わる |
| 日付をまたぐ運行の扱いが不統一 | 2日に分かれたり合算されたり |
このうち、時刻の丸めがいちばん影響します。「10時ごろ」という記録を10時00分として集計すると、実際とは違う数字になります。ぎりぎりの日に、超えているかどうかが分からなくなります。
もうひとつ、日付をまたぐ運行の扱いも決めておく必要があります。深夜に出庫して翌日の昼に帰庫する運行は、どちらの日として数えるのか。改善基準告示の1日は始業時刻から数えた24時間なので、始業した日の拘束時間として数える形になります。翌日の始業が前日の始業より早い時刻になると、その重なった時間は前日の24時間にも入ります。たとえば月曜8時始業、火曜6時始業なら、火曜の6時から8時までは月曜の1日の拘束時間にも数えます。この数え方を決めていないと、担当者によって集計が変わります。
拘束時間の上限の一覧|改善基準告示の数値
拘束時間の上限は、トラック運転者の改善基準告示(2024年4月1日から適用)で次のように定められています。
| 項目 | 原則 | 例外 |
|---|---|---|
| 1年の拘束時間 | 3,300時間以内 | 労使協定で3,400時間以内 |
| 1か月の拘束時間 | 284時間以内 | 労使協定で310時間以内(年6か月まで) |
| 1日の拘束時間 | 13時間以内(最大15時間) | 長距離貨物運送は週2回まで16時間 |
| 休息期間 | 継続11時間を基本とし、9時間を下回らない | 長距離貨物運送は週2回まで継続8時間 |
| 運転時間 | 2日平均で1日9時間、2週平均で1週44時間 | なし |
| 連続運転時間 | 4時間以内 | 駐車できないなどやむを得ない場合は4時間30分 |
厚生労働省のページには、分割休息・2人乗務・隔日勤務・フェリーの特例も載っています。労使協定の有無で扱いが変わる部分があるため、協定を結んでいる場合は、その内容も含めて確認しておくのが確実です。
数値を確認したら、社内で見られる場所に貼っておくと迷いません。管理表の余白に印字しておく方法もあります。
拘束時間の管理はどこから手を付けるか
拘束時間の管理は、手を付ける順序を決めておくと進みます。いきなり全部を整えようとすると止まります。順序としては、次のような形が進めやすくなります。
ひとつめが、日報の時刻を正確にすることです。ここが土台になります。丸まった時刻から作った管理表は、どこまで正確なのかが分かりません。
ふたつめが、月の累計が見える形にすることです。日ごとの記録があっても、累計が出ていないと月単位の管理ができません。
みっつめが、前日の終業時刻が見える形にすることです。休息期間の確認ができるようになります。
- 1. 日報の時刻正確にする。ここが土台
- 2. 月の累計出す。月単位が見える
- 3. 前日の終業並べる。休息期間が見える
3つがそろうと、管理表を見るだけで状況が分かるようになります。そこまで来ると、配車を組む段階で「この日は入れられない」という判断ができます。あとから超過に気づく形から、先に避ける形に変わります。
拘束時間が上限を超えそうなときにできること
拘束時間が上限を超えそうだと、月の後半で分かる場面があります。このとき取れる手は、いくつかあります。
運行を他の運転者に振り替える、日程を翌月にずらす、他社に委託する。どれも、早く気づいたほうが選べる幅が広がります。月末の3日前に気づくと、選べる手はほとんど残っていません。
だから、累計を見る間隔が効いてきます。週に一度でも見ていれば、余裕をもって動けます。
超えそうな状態が毎月続いている場合は、運行の組み方そのものを見直す場面になります。荷待ちが原因なら、荷主との交渉が選択肢になります。人員が足りないなら、採用か委託の検討になります。
管理表は、守るための表であると同時に、どこに無理があるかを示す表でもあります。数字が語っていることを読むと、手を入れる場所が見えてきます。
拘束時間管理表を運転者に見せるかどうか
拘束時間管理表は、事務所だけで持っている事業所が多くなっています。本人に見せる形にすると、変わってくる部分があります。
自分の月の累計が分かると、残りの日をどう働くかの見通しが立ちます。休みを取る日も決めやすくなります。
歩合の要素がある賃金では、働いた分だけ収入が増えます。上限があることを知らないまま走ると、月末に急に運行を止められる形になります。
見せ方は、全員分を貼り出す必要はありません。個人ごとに、自分の分だけが分かる形で足ります。月の中頃に一度、現在の累計を伝える。それだけでも、予定が立てやすくなります。
伝えるときは、注意ではなく情報として渡すのが良いです。「あと何時間です」という事実だけで足ります。数字が共有されていると、超えそうな月に本人から相談が出てくることもあります。事務所が気づく前に情報が入る形になります。
拘束時間管理表の保存と見返し
拘束時間管理表そのものの保存期間は、改善基準告示には書かれていません。始業・終業の時刻を記録した労働時間の記録として使う場合は、出勤簿や賃金台帳と同じ扱い(労働基準法第109条で5年、附則第143条で当分の間3年)にそろえて、同じ場所に置いておくと扱いがそろいます。法定三帳簿の整理は運送業の法定三帳簿にまとめています。
日報の保存期間は1年です。管理表の元になる記録なので、突き合わせができる期間はそろえておくと安心です。保存期間の全体像は書類の保存期間に整理しています。
年に一度、1年分を並べて見返しておくと、季節による波が見えてきます。繁忙期に集中している事業所では、その時期に向けた準備ができます。人を増やすのか、委託を使うのか、荷主と話すのか。選択肢を前もって考えられるようになります。
見返す作業は、年に1回で足ります。数字がそろっていれば、時間はかかりません。
数字を管理すること自体が目的ではありません。無理のない運行が組めているかを確かめるための表だと考えておくと、見る目が変わってきます。まずは、いまの管理表に月の累計欄があるかどうか。そこから見てみるのが早道です。
拘束時間にかかわる最近の動き(2026年10月時点)
拘束時間の上限は、2024年4月に大きく引き下げられました。その後は、荷主の側に荷待ちを減らす決まりが加わってきています。
| 時期 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 2024年4月1日 | 改正後の改善基準告示の適用開始。1年の拘束時間は3,516時間から3,300時間に、1か月は293時間から284時間に、休息期間は継続8時間以上から「継続11時間を基本に9時間を下回らない」形に | 改善基準告示(厚生労働省のページ) |
| 2024年4月1日 | 自動車運転の業務にも時間外労働の上限(臨時的な場合でも年960時間)が適用 | 労働基準法第140条 |
| 2025年4月1日 | すべての荷主と物流事業者に、荷待ち時間・荷役等時間の短縮などの努力義務 | 物資の流通の効率化に関する法律 |
| 2026年4月1日 | 一定規模以上の特定荷主などに、中長期計画の作成・定期報告・物流統括管理者の選任が求められる形に | 同上 |
拘束時間の数字は、2024年4月の改正のあと動いていません。変わってきているのは荷待ちを減らす責任が荷主にも置かれたことです。業務の記録に荷待ちの時刻が残っていると、拘束時間が延びている理由を荷主に示せます。
出典:
確認日は2026年10月3日です。自社の拘束時間の数え方や労使協定の扱いは、所管の労働基準監督署で確かめられます。
拘束時間に出てくる用語
拘束時間の管理では、似た言葉がいくつも出てきます。意味の違いを表にしておきます。
| 用語 | 意味 | 出典 |
|---|---|---|
| 拘束時間 | 始業から終業までの、使用者に拘束されている時間。労働時間と休憩時間の合計 | 厚生労働省「トラック運転者の改善基準告示」 |
| 休息期間 | 勤務終了から次の始業までの、使用者の拘束を受けない期間 | 同上 |
| 1日 | 始業時刻から数えた24時間 | 同上 Q3 |
| 運転時間 | 実際に運転している時間。2日平均・2週平均で上限を見る | 同上 Q5 |
| 連続運転時間 | 1回おおむね10分以上・合計30分以上の中断をせずに続けて運転する時間 | 同上 Q6 |
| 長距離貨物運送 | 一の運行の走行距離が450km以上の貨物運送 | 同上 |
| 荷待ち時間 | 集貨・配達を行う場所で、荷主の都合により貨物の受渡しのために待機した時間 | 国土交通省「物流効率化法」理解促進ポータルサイト |
| 労働時間 | 法令上の定義はない。労働基準法で上限が定められ、改善基準告示の拘束時間とは別に数える | 労働基準法第32条 |
拘束時間の用語で取り違えが多いのは「休憩時間」と「休息期間」です。休憩時間は拘束時間の中に入り、休息期間は拘束時間の外にあります。日報で「休憩」と「休息」の欄を分けておくと、転記のときに混ざりません。
拘束時間と一緒に押さえておきたいこと
拘束時間の上限と、時間外労働の年960時間は別に数える
拘束時間の上限は改善基準告示、時間外労働の上限は労働基準法第140条(臨時的な場合でも年960時間)で、根拠も数え方も違います。拘束時間には休憩も入り、時間外労働は法定労働時間を超えた分だけを数えます。管理表に拘束時間の累計と時間外労働の累計を並べておくと、片方だけ守れている状態に早く気づけます。
拘束時間の月310時間は、続けて3か月まで
拘束時間を月310時間まで延ばす労使協定を結んでいても、284時間を超える月が3か月を超えて続かないこととされています。あわせて、1か月の時間外・休日労働が100時間未満となるよう努めることとされています(厚生労働省 同上 Q2)。管理表に「284時間を超えた月」の印をつけておくと、4か月目に入る前に配車を組み替えられます。
拘束時間の確認には、厚生労働省のソフトも使える
厚生労働省のページでは、始業・終業時刻や運転時間を入れると、改善基準告示で定める拘束時間などの守られ方を確かめられる「改善基準告示遵守状況確認ソフト」が配られています。自社の拘束時間管理表の計算と1か月分を突き合わせてみると、集計の決め方がずれていないかを確かめられます。

よくある質問
荷待ち時間は拘束時間に入りますか。
始業から終業までの時間に含まれるため、拘束時間に入ります。荷待ちが長い運行では、労働時間と拘束時間の差が大きくなります。荷主の都合で待った場合は、業務の記録に待機した地点や到着・出発の日時を残すことが輸送安全規則第8条で求められています。
適用される上限の数値はどこで確認できますか。
厚生労働省の「トラック運転者の改善基準告示」のページで、1年3,300時間・1か月284時間(労使協定で3,400時間・310時間)、1日13時間(最大15時間)などを確認できます。自社への当てはめは、所管の労働基準監督署で確かめられます。