拘束時間の数え方|改善基準告示で何を管理するのか

公開 2026年8月21日

運送業の労務管理が他業種と違うのは、労働基準法に加えて改善基準告示という別の基準を守る必要がある点です。2024年4月から改正後の基準が適用されています。

管理の対象は主に3つ。拘束時間、休息期間、運転時間です。それぞれ考え方が違うので、順に整理します。

拘束時間は労働時間ではない

最初につまずくのがここです。拘束時間は、始業から終業までの全部です。休憩も、荷待ちも、手待ちも含みます。

労働時間は、そのうち実際に働いた時間です。休憩を除きます。

同じ1日でも、労働時間が9時間で拘束時間が13時間ということが普通に起こります。荷待ちが長い運行では、この差が大きくなります。労働時間だけを見ていると、拘束時間の上限に近づいていることに気づけません。

日単位と月単位の両方を見る

拘束時間には、1日の上限と、1か月・1年の上限があります。どちらか一方が守られていればよい、というものではありません。

日単位で収まっていても、月の合計で超えることがあります。逆に月に余裕があっても、1日の拘束が長すぎればその日で基準を外れます。

月末に集計して初めて超過に気づく、という運用では手遅れです。日々の記録の段階で月累計が積み上がる形にしておくと、月の中旬で気づけます。

休息期間は前日とつながっている

休息期間は、前日の終業から当日の始業までの間隔です。1日の中で完結しません。

ここが管理表を作るときの厄介な点で、日付順に並んでいないと計算ができません。運転者ごとに表を分け、日付順に固定して使う必要があります。行を並べ替えると休息期間の計算が崩れます。

休息期間は「休憩」とも違います。休憩は拘束時間の中にある時間、休息期間は拘束と拘束のあいだの時間です。言葉が似ているので、社内で使い分けを決めておくと混乱が減ります。

運転時間と連続運転時間

運転時間は、実際にハンドルを握っていた時間です。拘束時間の一部ですが、別に上限があります。

さらに、連続運転時間についての基準もあります。長時間続けて運転しないよう、途中で運転を中断することが求められます。中断の取り方には考え方が示されているため、休憩の記録が時刻で残っていることが前提になります。

日報からの転記でずれる理由

日報の出庫時刻を、そのまま始業時刻として転記すると、拘束時間が実際より短く出ます。

出庫の前には点呼があり、日常点検があり、その前に出社しています。帰庫後にも荷卸や日報の作成があります。これらはすべて拘束時間に含まれます。

日報は運行の記録、拘束時間管理表は労務の記録です。時刻の起点が違うため、別々に記録する必要があります。日報の時刻をコピーして済ませている事業所は、一度実態と突き合わせてみることをおすすめします。

自社に適用される数値の確認

改善基準告示には、1年・1か月の拘束時間、1日の拘束時間、休息期間、運転時間、連続運転時間について、それぞれ数値が定められています。ただし、労使協定の有無によって適用される数値が変わる部分があります

このため、管理表に数値を固定で埋め込むのは危険です。自社に適用される上限を、厚生労働省が公開している改善基準告示の資料や、所管の労働基準監督署で確認したうえで、管理表の目安欄に記入して運用してください。

どこから手を付けるか

まず、運転者1人分の1か月を実際に記録してみることをおすすめします。想定より拘束時間が長いはずです。荷待ちや構内での待機が、記録に乗ってこなかった分だけ積み上がります。

数字が見えて初めて、配車の組み方や荷主との条件交渉の材料になります。管理表は守るために作るものですが、それ以上に実態を見るための道具です。

よくある質問

荷待ち時間は拘束時間に入りますか。

始業から終業までの時間に含まれるため、拘束時間に入ります。荷待ちが長い運行では、労働時間と拘束時間の差が大きくなります。

適用される上限の数値はどこで確認できますか。

厚生労働省が公開している改善基準告示の資料、および所管の労働基準監督署でご確認ください。労使協定の有無で扱いが変わる部分があります。

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