改善基準告示の例外|分割休息・2人乗務・フェリー
公開 2026年8月21日
改善基準告示の原則は覚えやすいのですが、現場の運行はそのまま原則に収まりません。休息を続けて取れない、2人で乗る、フェリーに乗る、事故渋滞に巻き込まれる。
例外の存在を知らないと、2つの間違いが起こります。本当は認められる運行を断ってしまうか、認められないやり方で走ってしまうか。どちらも損です。
ここでは代表的な4つを整理します。具体的な数値と適用条件は改正や解釈通達で動くため、自社の運行が当てはまるかは所管の労働基準監督署にご確認ください。
1. 分割休息
休息期間を続けて確保できないとき、分割して与える特例があります。
考え方は3つです。
- 1回あたりに最低限必要な長さが決まっている(短すぎる細切れは休息と認められない)
- 分割できる回数に上限がある(2分割・3分割)
- 分割したときの合計は、続けて取る場合より長く求められる
つまり「細切れにすれば短くていい」ではありません。分けるほど、合計は増える方向です。ここを逆に理解している事業所があります。
さらに、分割休息を使える頻度にも制限があります。常態化させる前提の仕組みではない、と理解しておくのが安全です。
2. 2人乗務
車内に身体を伸ばして休息できる設備がある場合、最大拘束時間を延長できます。設備の要件を満たすと、さらに延長できる枠もあります。
ここでの落とし穴は「2人で乗れば延ばせる」ではないことです。設備が要件を満たしているかが条件になります。座席を倒しただけでは足りない場合があります。
導入を検討するなら、車両の仕様(ベッドの寸法など)を確認してから運行を組んでください。運行を組んでから車両が要件を満たしていないと分かると、やり直しになります。
3. フェリー乗船
フェリーに乗っている時間は、原則として休息期間として扱われます。
ただし全部がそのまま休息になるわけではなく、乗船時間の扱いと、下船後に必要な休息の関係に決まりがあります。長距離フェリーを使う運行では、乗船時間をどう数えるかで拘束時間の計算がまったく変わります。
記録上は、運転日報に乗船・下船の時刻を必ず書いてください。書いていないと、後から「休息だった」と説明できません。
4. 予期し得ない事象への対応時間
2024年から適用されている改正で入った考え方です。運転中の予期しない事象(事故渋滞、災害、車両の故障など)に対応した時間は、1日の拘束時間・運転時間の計算から除くことができます。
ただし条件があります。
- 客観的な記録が残っていること(渋滞情報、故障の記録、警察や道路管理者の情報など)
- 運転日報に、事象の発生時刻・内容・対応した時間を記載していること
記録が無ければ使えません。 「あの日は渋滞がひどかった」という記憶では認められません。日報の特記事項欄に、その場で書く習慣が要ります。
記録が例外を使えるようにする
4つに共通するのは、記録が無いと例外を主張できないことです。
| 例外 | 記録に必要なもの |
|---|---|
| 分割休息 | 休息の開始・終了時刻(分割ごとに) |
| 2人乗務 | 乗務員2名と、使用した車両 |
| フェリー | 乗船・下船の時刻 |
| 予期し得ない事象 | 事象の発生時刻・内容・客観的資料 |
拘束時間管理表の備考欄と、日報の特記事項欄。この2か所を埋める習慣があるかどうかで、使える例外の幅が変わります。
原則だけで運行を組むと、断らなくていい仕事まで断ることになります。例外を知り、記録で裏づける。 これが実務の順序です。
よくある質問
具体的な時間数はどこで確認できますか。
厚生労働省が公開している改善基準告示の資料と、その解釈通達に記載があります。労使協定の有無で扱いが変わる部分もあるため、所管の労働基準監督署にご確認ください。
予期し得ない事象は自己申告でよいですか。
客観的な記録が求められます。渋滞情報の画面、修理の記録、警察への届出など、第三者が確認できる資料を残してください。