運送業向け 運送原価計算表テンプレート
最終更新:2026年8月21日
「この仕事、儲かっているのか」に答えられる会社は多くありません。月次の決算では会社全体の損益しか出ないため、どの荷主のどの運行で稼いでいるかが分からないからです。
運賃交渉で強く出られない理由も、たいていここにあります。原価が分からないと、いくらまでなら受けられるかが決まりません。
この表は、1運行あたりの原価を積み上げるものです。難しい会計知識は要りません。すでに手元にある数字(給与・燃料費・車両費・保険料)を、運行に割り振るだけです。
| 運送原価計算表 【記入例】 | ||||||||||||
| 事業所名 | ○○運輸株式会社 東京営業所 | |||||||||||
| 算定基準日 | 2026年8月 | |||||||||||
| 運行名 | 荷主 | 距離 (km) | 拘束 時間 | 人件費 | 燃料費 | 車両費 (@38円/km) | 高速・ 実費 | 一般管理費 (10%) | 原価計 | 運賃 | 差引 | 1kmあたり 原価 |
| 川崎→横浜 日帰り | ○○商事 | 178 | 11:40 | 33,250 | 3,350 | 6,764 | 1,800 | 4,516 | 49,680 | 54,000 | +4,320 | 279 |
| 大宮→宇都宮 日帰り | △△物流 | 294 | 13:10 | 37,525 | 5,530 | 11,172 | 3,600 | 5,783 | 63,610 | 62,000 | −1,610 | 216 |
| 川崎→名古屋 泊 | □□製作所 | 760 | 26:30 | 75,525 | 14,300 | 28,880 | 9,400 | 12,811 | 140,916 | 158,000 | +17,084 | 185 |
| 都内 集配(12件) | 各社 | 95 | 9:30 | 27,075 | 1,450 | 3,610 | 0 | 3,214 | 35,349 | 38,000 | +2,651 | 372 |
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原価計算表は法令で定められた書類ではありません。ただし貨物自動車運送事業法にもとづき国土交通大臣が「標準的な運賃」を告示しており、自社の原価を把握することは運賃交渉の前提になります。
原価を4つに分ける
| 区分 | 中身 | 割り振り方 |
|---|---|---|
| 人件費 | 給与・賞与・社会保険料 | 時間あたりに直して、拘束時間で掛ける |
| 燃料費 | 軽油代 | 走行距離 ÷ 実燃費 × 単価 |
| 車両費 | 減価償却・車検整備・タイヤ・保険・税 | 年額を年間走行距離で割り、1kmあたりに |
| 一般管理費 | 事務所家賃・通信費・管理部門の人件費 | 売上または運行数で按分 |
人件費は拘束時間で見るのが要点です。 労働時間ではありません。荷待ちが長い運行は、走っていなくても人件費がかかっています。
数字はすでに手元にある
新しく集める数字はほとんどありません。 既にある帳票をつなぐだけです。
1kmあたりと1運行あたり
両方を出してください。用途が違います。
- 1kmあたり … 距離の違う仕事を比べるとき
- 1運行あたり … その仕事を受けるかどうかを決めるとき
長距離は1kmあたりが安く見えますが、拘束時間が長いので1運行あたりでは重くなります。距離だけで判断すると、長距離ほど損をします。
待機時間を原価に入れる
荷待ち2時間は、人件費2時間分の原価です。荷待ち時間記録簿の平均待機時間を運行の所要時間に含めてください。
含めないと「この荷主は安いが量があるから」という判断になり、実際には赤字の仕事を回し続けることになります。
交渉に使うとき
「値上げしてほしい」ではなく、「この運行の原価は○○円で、現行運賃だと1運行あたり○○円の赤字です」と出します。数字で言えると、相手も社内で説明できます。
国土交通大臣が告示している「標準的な運賃」も参考になります。自社の原価と並べて示すと、根拠が厚くなります。
このテンプレートについてよくある質問
減価償却の計算が分かりません。
厳密でなくても構いません。車両の取得額 ÷ 使用予定年数 ÷ 年間走行距離で、1kmあたりの概算が出ます。まずは概算で全体像をつかんでください。
一般管理費の按分はどうしますか。
売上比か運行数で按分するのが一般的です。厳密さより、毎回同じ基準で計算することの方が重要です。基準を変えると前後の比較ができなくなります。