運送業向け ヒヤリハット報告書テンプレート
ヒヤリハットは、事故には至らなかったけれど「危なかった」出来事です。報告しても誰も得をしないため、放っておくと集まりません。
集める目的をはっきりさせておくと続きます。個人を責めるためではなく、場所と時間帯の傾向を掴むためです。同じ交差点で3件出れば、それは運転者の問題ではなく経路の問題として扱えます。
このテンプレートは1件1行の一覧形式です。報告用紙を1枚ずつ配る形式にすると、集計する人が転記することになり、結局続きません。
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このテンプレートは誰向けですか
- 事故に至らなかった出来事を集めたい運行管理者の方
- 報告が集まらず、書式のせいかもしれないと感じている方
- 危険な場所や時間帯の傾向を見つけたい方
どのような場面で使いますか
ヒヤリとした出来事があった日に、乗務員本人が書きます。集まった記録を月ごとに見返すと、傾向が見えてきます。
含まれる項目
このテンプレートには、次の項目が入っています。不要な項目は削除して構いません。
- No.
- 発生日
- 時刻
- 報告者
- 発生場所
- 状況(何があったか)
- 想定される要因
- 対策(管理者記入)
- 共有
Excel画面のプレビュー
実際のファイルの記入例シートです。
| ヒヤリハット報告一覧 【記入例】 | ||||||||
| 事業所名 | ○○運輸株式会社 東京営業所 | |||||||
| 期間 | 2026年8月 | |||||||
| この用紙の使い方(書く前に読む) | ||||||||
| 報告した人を責めない。対策の欄に個人名を書かない。報告数が減ったら、安全になったのではなく書かなくなったと考える。 | ||||||||
| 報告者名は任意。匿名でよい。匿名でも、日時と場所から状況は分かる。 | ||||||||
| 運転者が書くのは「発生日・時刻・場所・状況」まで。要因と対策は管理者が書く。 | ||||||||
| その場で危ないと思ったときは、まず運行管理者に連絡する。用紙はあとでよい。 | ||||||||
| 「対策」と「共有」が空の行は、まだ終わっていない。月に一度、空欄だけを見る。 | ||||||||
| No. | 発生日 | 時刻 | 報告者 | 発生場所 | 状況(何があったか) | 想定される要因 | 対策(管理者記入) | 共有 |
| 1 | 2026/08/03 | 7:40 | 山田 太郎 | 国道1号 ○○交差点 | 右折待ち中、対向の二輪車が想定より速く接近。発進を中止した | 対向車線の見通しが悪い/朝の逆光 | 朝の時間帯は右折を避ける経路に変更。全員へ周知 | 済 |
| 2 | 2026/08/07 | 16:20 | (匿名) | ○○センター 構内 | 後退時に構内を歩く作業員に接近。誘導なしだった | 構内の歩行者導線と重なる/誘導員不在 | 荷卸時は必ず降車確認。センターへ導線の分離を依頼 | 済 |
| 3 | 2026/08/12 | 18:05 | 鈴木 次郎 | 首都高速 ○○入口 | 合流時に側方の車を見落としかけた | 夕方の視認性低下/ミラーの死角 | 合流前の減速を徹底。ミラー調整を点検項目に追加 | 予定 |
| 4 | 2026/08/17 | 17:30 | (匿名) | 国道1号 ○○交差点 | 右折時、横断歩道の歩行者に気づくのが遅れた | 夕方の逆光/右折待ちの焦り | 同交差点は朝夕とも右折を避ける経路へ変更 | 済 |
ファイル形式
| 形式 | Excel(.xlsx) / PDF(印刷用) |
|---|---|
| 対応 | Microsoft Excel 2016以降 / Googleスプレッドシート / LibreOffice Calc |
| 用紙 | A4に収まるよう印刷範囲を設定済み |
| シート | 説明 / 記入用 / 記入例 / A4印刷用 |
| マクロ | 使用していません |
| ファイルサイズ | Excel 約 15 KB |
| 更新日 | 2026年9月15日 |
| 利用料 | 無料(会員登録は不要です) |
入力方法
- 上部の基本情報を埋めます。事業所名・期間などの欄を先に入れてください。
- 使わない列を削除します。自社で記入しない項目は、残しておくと空欄が並ぶだけになります。
- 1行に1件ずつ記入します。記入例シートを見ながら書くと、書き方が揃います。
- 気づいたことは備考に残します。後から見返したときに、数字だけでは分からない事情が伝わります。
- 区切りのよいところでファイルを分けて保存します。月ごと・工事ごとに分けると、後から探せます。
カスタマイズ方法
- 項目の追加・削除は自由です。ロックはかけていないため、自社の運用に合わせて変更できます。
- 提出先から様式の指定がある場合は、指定された様式が優先されます。この様式は、指定が無い場面や下書きとしてお使いください。
- 会社名やロゴを入れる場合は、ヘッダーの行に足してください。印刷範囲は自動で調整されます。
- A4印刷用シートは、手書きで記入する前提で行を高くしてあります。列を増やしたときは、印刷範囲の確認をおすすめします。
利用上の注意
- ヒヤリハットの記録は法令で義務づけられた書類ではありません。ただし、運転者に対する指導・監督の内容として活用する場合、その記録は3年間の保存が求められる範囲に含まれることがあります。
- このテンプレートは、法令が求める記載事項と、実務で求められることが多い項目を整理した参考様式です。特定の団体が定めた様式そのものではありません。
- 提出先から様式や記載事項の指定がある場合は、そちらが優先されます。
- 法令の要件や金額の基準は改正で変わることがあります。判断の前に、所管の官庁等で最新の内容をご確認ください。
書き方と運用のポイント
ヒヤリハット報告を集めるときの原則
ヒヤリハット報告を集めるときの原則は、書く側の負担を減らすことです。
報告は1件1行にします。A4の報告書を1枚ずつ書かせる方式は、書く側も集計する側も負担が大きく、続きません。
匿名でも受け付ける形にします。 報告者名の欄は設けていますが、必須にしない運用をおすすめします。名前を書かせた瞬間に報告数は落ちます。
対策を書く欄は管理側に持たせます。 運転者が書くのは「何があったか」までで十分です。要因の分析と対策は、報告を受けた側が埋めます。
ヒヤリハット報告の分析の仕方
3か月ほど溜まったら、次の3つの軸で並べ替えてみてください。
- 場所 — 同じ地点が繰り返し出ていないか
- 時間帯 — 早朝・夕方に偏っていないか
- 状況 — 発進時・後退時・車線変更時のどれが多いか
どれか1つでも偏りが見つかれば、それが次の安全教育の題材になります。「安全運転を心がけましょう」という一般論より、「○○交差点の右折で3件出ています」の方が伝わります。
事故になった場合はヒヤリハットではなく事故報告書
ヒヤリハットではなく実際の事故になった場合は、事故報告書を使います。こちらは記録の保存期間が定められています。
ヒヤリハット報告は集計して初めて価値が出る
1件ずつ読んでも、得られるのは「気をつけよう」だけです。3か月分をためて並べ替えると、別のものが見えます。
やることは3回の並べ替えだけです。
- 発生場所で並べ替える … 同じ地点が2件以上あれば、経路の問題
- 時刻で並べ替える … 早朝・夕方に偏るなら、視認性か疲労の問題
- 状況で読む … 発進時・後退時・車線変更時のどれが多いか
偏りが出た軸が、次の教育の題材になります。
ヒヤリハット報告を乗務員教育に渡す
見つけた偏りは、そのまま乗務員教育記録簿の「使用した資料」欄に書ける形にしておきます。
「社内ヒヤリハット集計(6-8月/構内後退時 4件)」と書いてあれば、何を題材にしたかが1年後にも分かります。一般論の教材より、自社で起きた4件の方が伝わります。
ヒヤリハット報告が止まったとき
報告数が減ったら、安全になったのではなく書かなくなったと考えてください。よくある原因は、報告した人が個別に指導されたことです。
報告は責めるためのものではない、と繰り返し伝える。対策欄に個人名を書かない。この2つで報告数は戻ります。
運転者はどこまで書けばよいか
この様式では、使い方を表の中(見出しの上)に置いています。
- 運転者が書くのは「発生日・時刻・場所・状況」まで
- 要因と対策は管理者が書く
- その場で危ないと思ったときは、まず運行管理者に連絡する。用紙はあとでよい
対策まで書かせない形にします。対策を思いつかない人は報告しなくなります。用紙を書いてから連絡する形にすると、報告そのものが遅れます。
終わっていない件を見つける
「対策」と「共有」の欄が空のままの行は、集めただけで終わっている件です。月に一度、空欄の行だけを見ます。全件を読み直さなくても、止まっているものが分かります。
いちばん下に、記入者・対策を書いた管理者・確認した安全統括管理者の欄があります。
よくある質問
報告が集まりません。どうすればよいですか。
書く量を減らすのが最も効きます。日報の余白に一言書いてもらい、それを管理側が転記する形から始めると、報告そのものが習慣になります。